も・の・が・た・り

御覧いただきありがとうございます!大学一年生で読んだ本の感想や好きなアニメやゲームの考察なんかをやっています。

PSYCHO-PASS(サイコパス) 3期 PV2 考察的なやつ

PSYCHO-PASS3 タイトル

いよいよ、PSYCHO-PASS3期の情報がぞくぞくと公開されていきました。

楽しみですね!!

 

2019年10月24日24:55~開始

毎週1放送で全8話放送

 というわけで、1クールよりも長い、1.5クール分ということになるのでしょうか。しかし、SSも3期に向けて制作されたものであるそうなので、実質+3時間と考えると3期は11時間、ほぼ2クール分ということになります!!

 

今回の3期は、4年前から構成が練られ始め、実に3年かけて脚本を制作したということで期待以上の作品に仕上がっているでしょう!!

 

そんなわけで、今回は9月27日に公開された新PVについて、考察もとい注目すべき(僕が勝手に注目した点)を軽くご紹介したいと思います。

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祝!映画化! 蜜蜂と遠雷 恩田陸 紹介

いよいよ、2019年10月4日に映画「蜜蜂と遠雷」が上映になります!!

 

そんな超大作「蜜蜂と遠雷」を映画をきっかけに知った人も多いと思います。そんな人たちのために「蜜蜂と遠雷」(原作)の魅力をご紹介できればと思います!!

 

原作ファンの人たちもぜひこの記事を読んだ後、もういちど、読み直してあの感動を再び味わってください!!

 

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蜜蜂と遠雷 本選 

キム・スジョン

ラフマニノフ「ピアノ協奏曲 第三番」

静かに曲が始まる。ほのかに哀愁を帯びた、シンプルなテーマのメロディ。曲としてあまりに巨大なので、演奏する方もある程度の大きさ、強さを持っていないととてもではないが弾き切れない。激しいパッセージが、オーケストラとともにうねっている。きらびやかな大伽藍のような、ラフマニノフラフマニノフの三番はじわじわと上っていき、クライマックスという感じではない、弾いても弾いても山場。そこが、ある種のくどさを思わせるのだろう。だから、ラフマニノフの三番を弾くのには、至極冷静な頭が必要である。彼の持つミステリアスでクールな印象が舞い上がりがちなラフマニノフをうまく制御し、曲の華やかさを「低く」保っている。ステージ上では、いよいよ演奏が激しく、ドラマティックにうねり続けている。


Fuko Ishii Rachmaninoff Piano Concerto No.3 Op.30

 

フレデリック・ドゥミ

ショパン「ピアノ協奏曲 第一番」

重量級の曲が続く本選の中では、最もポピュラリティのあるコンチェルトだろう。ショパンの一番は、ただそのまま弾くと、恐ろしくのんべんだらりとした退屈なものになりがちである。だから、演奏者が意識的に仕掛けていかないと、ドライブ感もスリルも生まれない。かといって、いかにも「仕掛けている」ところが透けてしまうと、オーソドックスなメロディのためか、やけに「性急な」印象を与えてしまうのだ。しかし彼は、重々しく引っ張っていくでもなく、間延びするわけでもなく、軽やかにオーケストラを率いていく。ゆったりとした第二楽章を、思いれたっぷりになりがちな演奏でなく、やはり軽やかでどこかお茶目な雰囲気すら漂わせた演奏から躍動かな触れる第三楽章に移っていくところだった。それに呼応し、テンションを上げるオーケストラ。第三楽章は、スピード感を溢れる超絶技巧で、クライマックスに向かて華やかに上り詰めていく。


ショパン ピアノ協奏曲第1番ホ短調作品11 / 中村紘子 秋山和慶 NHK交響楽団 (2009)

 

マサル・カルロス・レヴェ・アナトール

プロコフィエフ「ピアノ協奏曲 第三番」

ゆったりとした、木管のオープニング。何かが始まる、何か大きくて不敵なことが始まる。そんな予兆に満ちた、緩やかに上昇するメロディに、弦楽器が加わる。そして、ティンパニが加わり、弦楽器とともに軽やかなリズムを刻み興奮をあおるようにクレッシェンドしてゆき ー ピアノが入る。縦横無尽に天架ける感じからか、独特の浮遊感がこの曲全体に漂っている。いよいよ華やかな出いよいよ音符の多い第三楽章へと向かって、オーケストラとともに疾走し続けていく。


PTNA2016特級ファイナル 尾崎未空/プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 Op.26

Nobuyuki Tsujii


Prokoflev Piano Concert No.3 / Nobuyuki Tsujii

 

チョ・ハンサン

ラフマニノフ「ピアノ協奏曲 第二番」

日本では、コンチェルトの王様のようにも仰ぎ見られている華やかな曲だ。構成も、ドラマティックに始まるオープニングからぐっと観客をひきつけ、クライマックスに向けて周到に演出がなされており、実によく聴衆の心理を知り抜いた傑作といえるだろう。第三楽章、オーケストラが軽やかなメロディを重ね、リズミカルな導入部から、ギアチェンジを図る。きらびやかなピアノソロ。ここからは一気呵成だ、ところどころで表情を緩めながらも、曲は徐々に盛り上がるを加速させていゆく。


Rachmaninoff: Piano Concerto no.2 op.18 Nobuyuki Tsujii blind pianist BBC proms

 

風間塵

バルトーク「ピアノ協奏曲 第三番」

密やかな導入部。すごくよく通る、美しい声が森の中から響いてきたような。とてもヴィヴィッドで、少し陰鬱で、かすかにフラット気味で。第二楽章のアダージオ。ゆったりとした、厳かな導入部。ゆっくりと、木陰の中をしかが歩いてくるのが見えるようだ。アンダンテ。ゆったりと揺れるゴンドラに乗っているみたいに、風間塵の体もゆっくりと揺れる。第三楽章。鮮やかなスケールが駆け上がり、オーケストラが加わる。わくわくする、躍動感あふれるバルトークの世界が、スリルとスピードを伴って輝かしく膨れ上がる。凄い。顔に音圧を感じるほどの演奏。ピアノと弦楽器の掛け合い。互いに一歩も引かず、息をのむような緊張感が持続していく。音楽が、塊となって迫ってくる。まだまだ膨らむ。世界、世界が、世界が、なっている。興奮に満ちた音楽という歓声で。


バルトーク・ベーラ「ピアノ協奏曲第3番」(1945)

 

亜夜栄伝

プロコフィエフ「ピアノ協奏曲 第二番」

 

さあ。

 

さあ、音楽を。

 

あたしの音楽を。

 

あたしたちの音楽を。

 

そしてタクトが振られる。


Prokofiev: Piano Concerto n. 2 - Yefim Bronfman

蜜蜂と遠雷 第三予選 曲一覧

 

マサル・カルロス・レヴィ・アナトール

バルトーク「ピアノ・ソナタ Sz.80」

いきなり、不穏で激しい音の連打で始まり、聴衆を異世界へと引きずりこむ。モダンで前衛的なところのあるこの曲からはいり、どちらかといえば甘いイメージのあるマサルの印象を覆し、ハッとさせるためだ。バルトークは生前、ピアノは旋律楽器であると同時に打楽器である、と繰り返し述べている。マサルは、マリンバ独特のリズミカルな弾力間、軽やかな疾走感を再現しようと試みる。バルトーク独特の音の展開。胸をすくような、潔い音の流れは、どこか見晴らしの良いところに出た、パット広い青空が開けたような爽快感がある。


バルトーク/ピアノ・ソナタ 全楽章 ,2009コンペティション特級銀賞

 

シベリウス「五つのロマンティックな小品」

一曲目のバルトークとはがらりと180度異なる、ロマンティックでメロディアスな小さな曲が五つ並ぶ。臆面もない、折り目正しく美しいメロディ。一曲目と対照させてメリハリをつけ、緊張を強いるモダンな曲からお客さんを開放し、ホッと休ませる目的もある。そして何より次の大曲、リストのソナタを聴く布石にしてもらう目的もある。曲そのものが十分ロマンティックなメロディなのだから、逆に音はストイックに、むしろ硬質な響きを目指す。和音はあくまでどの音も均等に、アルペジオは正確に。


シベリウス 「5つの小品(樹の組曲)op.75」全5曲 2015年3月1日 ムジカーザ J.Sibelius: 5 Pieces. op.75

 

リスト「ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178」

傑作の誉れ高いこの曲は、ソナタ形式としてはかなり異色である。通常のソナタ形式ではきっちり楽章ごとに分かれて主題部と展開部が演奏されるのであるが、この曲は全体で一続きの一楽章になっているところであろう。マサルはこの曲を聴くたびに、周到に複線の張られた、巧みな構成の長編小説のようだと思う。曲はー物語は、さりげなく、謎めいた場面から始まる。これは何世代もの因果が絡み合う悲劇。様々な人々の思惑が思わなぬところで交錯する。現在の状況がひとしきり語られた後で、もう一つの主題が現れる。やがて、偶然は何度も彼女と男を引き合わせる。


2012ピティナ特級グランプリ/菅原望 リスト:ソナタ ロ短調

 

ショパン「ワルツ 第十四番ホ短調

一時間のリサイタルの、アンコールというニュアンスで選んだ曲。ロマンティックでちょっとほろ苦く切ないワルツ。さりげない曲。別れの挨拶。幕切れはあっさりとくどい終わり方は嫌だった。


Chopin - Waltz No.14 E minor, Op.Posth (Evgeny Kissin)

 

風間塵

サティ「あなたがほしい」

洒落さを漂わせる。浮き立つような軽快なワルツ。シンプルなメロディは、たちまちコンクール会場をパリの外囲等に変えてしまった。科℉秀グラスのぶつかる音や、喧騒が聞こえてきそうだ。


サティ: あなたが欲しい(ジュ・トゥ・ヴー) Pf.近藤由貴:Kondo,Yuki

 

メンデルスゾーン「無言歌集より 春の歌 イ長調 Op.62-2」

やがて少しずつリタルダンドしてーいきなり次の曲になった。なんとまあ、鮮やかな場面展開。いきなり場面は、匂い立つ花園になったのだ。あでやかに咲き誇る花が、目に浮かび、鳥が歌うさままで見える。なんと視覚的なー色彩感溢れる演奏だろう。


■メンデルスゾーン 無言歌 「春の歌」/ 近藤由貴 Yuki Kondo

 

ブラームスカプリッチョ ロ短調 Op76-2」

融通無碍に変わるタッチ。これまた小粋な、小品である。ものがなしさと、かすかなユーモアすら湛えたトリッキーな演奏。青みが勝った風景。どこか静かな子さんの館で、広間で民族衣装を着て踊る男女だろうか。トウで踊り続ける女性の姿が目に浮かんだ。


Brahms - Capriccio, Op. 76, No. 2, in B minor

 

サティ「あなたがほしい」(二回目)

「えっ」と声にならない声が上がるのがわかった。舞台上の風間塵は、無邪気な微笑を浮かべたまま、軽やかにサティをひき続けている。

 

ドビュッシー「版画」

たちまち情景が変わる。「版画」の一曲目。「塔」。くすんだ色の、黄昏の集落。ねっとりとした、亜熱帯の味なの湿気。草のにおいや、熱風のにおいまで漂ってきそうな光景。古びた塔。情動、とでも呼ぶのだろうか。心の底の、普段は深く暗い場所に湛えられた水が、目に見えない力に揺さぶられ、ゆっくりとうねる。


ドビュッシー/版画 1.塔 /演奏:金田真理子

 

そのまま、「版画」の二曲目「グラナダの夕べ」へと移行する。いつのまにかイスラムのにおいのする世界へと運ばれる。ハバネラのリズム。黒髪の女たち。扇を手に舞う女たち。これまた、身体の底にある情動の海から、たぶんと何かが首をもたげる。やるせない、遅い午後。何か大きなエネルギーの壁のようなものが舞台からせり出していて、文字通り座席に縫い付けられたように動けないのだ。喉はカラカラで、呼吸すら憚られる。


ドビュッシー/版画 2.グラナダの夕べ /演奏:金田真理子

 

そして、また情景は変わった。「版画」、三曲目「雨の庭」。突然、封っと気温が下がった。それまで客席を照らしていた茜色の光は消え、肌寒いフランスへと運ばれたのである。ポツポツと雨が降り始めた。やがて、風は強くなる。子供たちは、雨を避けて走り出す。


ドビュッシー/版画 3.雨の庭/演奏:金田真理子

 

ラヴェル「鏡」

すぐに「鏡」に入った。この子の頭の中では、「版画」と「鏡」はつながっているわけだ。鏡に映った五つの風景。蛾ー悲しい鳥たちー海原の小舟ー道化師の朝の歌ー鐘の谷彼の描く風景は大きい。イメージを思い浮かべるという程度ではなく、丸ごと風景を舞台の上に再現して見せているかのようだ。


ラヴェル/鏡 1.蛾/演奏:金田真理子


ラヴェル/鏡 2.悲しい鳥たち/演奏:金田真理子


ラヴェル/鏡 3.海原の小舟/演奏:金田真理子


ラヴェル/鏡 4.道化師の朝の歌 /演奏:金田真理子


ラヴェル/鏡 5.鐘の谷/演奏:金田真理子

 

サティ「あなたがほしい」(三回目)

曲を繋ぐプロムナードとして、軽快なメロディがほっと観客に一息つかせる。

 

ショパン即興曲 第三番ト短調 Op.51」

 風間塵の軽やかなタッチ。まさに、彼が今即興で生み出したかのようなメロディ。


ショパン/即興曲第3番 変ト長調 ,Op.51,CT45/pf.佐藤圭奈

 

サン=サーンス「アフリカ幻想曲 Op.89」

 当時のヨーロッパの人々が「アフリカ」という鳥に抱いていたエキゾチシズムが偲ばれる特徴的なメロディの曲で、実際、チュニジア民謡のモチーフも取り入れられているという。元の曲ではヴァイオリンが奏でる緊張感のあるイントロをトレモロで引き始めた。低音部で、左手がテーマとなるメロディを奏でる。さらに重層的な和音が、クレッシェンドしながら主旋律を繰り返す。そして、高音部で真っ向勝負に入るテーマ。華やかだ。キャッチーだ。心地よい、エキゾティックなメロディ。小気味よく繰り返されるメロディ。いよいよ曲はクライマックスに向かう。なんて大きな大人の。巨大なエネルギーを持つ物質があそこにあって、四方八方に放射されているように感じる。まるでライブハウスでフォービートの曲を聴いているかのようなコンクールとは無縁の感情、衝動、快感。


Concert Arabaesque : Africa, Fantaisie op 89, CAMILLE SAINT SAËNS, Piano MAROUAN BENABDELLAH

 

 

栄伝亜夜

ショパン「バラード 第一番ト短調 Op.23」

揺蕩うの時の流れのそこにしずんでいるさみしさ、普段は感じていないふりをしている、感じる暇もない日常生活の裏にぴったりと張り付いているさみしさ。避けてきたはずの、根源的な「さみしさ」を歌う。生き物たちの長い長い歳月から見れば一瞬にしか思えぬ人生の幸福と不幸を歌う。


PTNA2015コンペ全国決勝/G級 金賞 沢田蒼梧 ショパン/バラード第1番 ト短調 Op.23

 

シューマン「ノヴェレッテン Op.21 第二番ニ長調

波が弾くように、静かにバラードが終わった。一転、華やかな曲が始まる。不意に涙が込み上げてきた。なんで?ああ、きっとこれは、一曲目のバラードから亜夜の音を聴いているうちにしんしんと降り積もったものが、堤を超えて溢れてしまったのだろう。


シューマン: 8つのノヴェレッテ,Op.21 2. 第2番 ニ長調 Pf.藤井隆史:Fujii,Takashi

 

ブラームス「ピアノ・ソナタ 第三番ヘ短調 Op.5」

ブラームス的なものはすべて詰め込まれている。音の重厚さ、曲の構えの大きさ、圧倒的なロマンティシズム。ダイナミックなメロディの導入部。そして、彼女は我々のこれまでの人生の軌跡を、さりげえなく、厳かに語り始める。静かな語りは第二章に入っても続く。淡々と語られる無数の人生。第三楽章。がらりと変わる曲調。ドラマティックなスケルツォ。第四楽章で、彼女は内省する。自分の小ささ、愚かさ、幼さを痛感する。最後の第五楽章。フィナーレに向けて、じりじりと上り詰めていくメロディ。亜夜は最後の和音を弾いた。


ブラームス:ピアノソナタ 第3番 ヘ短調 作品5 全楽章 / Brahms:Piano Sonata No.3 Op.5 F minor (Live) 小瀧俊治

 ドビュッシー「喜びの島」

鮮やかなトリルから始まる。眩いばかりの歓喜と高揚。多幸感に打触れた、きらびやかな曲である、いよいよ、クライマックスにさしかかった。演奏する喜び、サイン王を聴く喜び、引き継がれていく喜び。最後のフレーズ。高音部に駆け上がり、そして、一息で降りる。


2012PTNAグランミューズ入賞者記念コンサート 浜崎友恵

蜜蜂と遠雷 第二予選 曲一覧

 

高島明石

春と修羅

夜の海に打ち寄せる波。頭上に輝く星。歩いている、明石は波打ち際を歩いている。森羅万象。それは、賢治の森羅万象でもあり、我々の森羅万象でもある。すべては巡り、すべては還っていく。我々がここに存在するのは、ほんのひととき。宇宙の輝きですらない、とても短い時間。修験者が握っている錫杖の音のように、繰り返し繰り返し、荘らの彼方から響いてくる。やがて声は消えてゆく。曲は最後に向かって尾後坂に進む

、すべては移りゆき、時のしじまに消えた、循環は繰り返される。

 

ショパンエチュード Op.10-5 黒鍵」

軽やかなみずみずしい黒鍵のエチュード。茶目っ気もあって楽しそうに弾いてるな。


黒鍵のエチュード/Etude Op10-5/ショパン/Chopin/ピアノ/Piano/CANACANA

 

リスト「パガニーニの大練習曲 S.141 第六曲 主題と変奏」

遊泳なテーマ曲を縦横に展開した、メリハリのある華やかな曲。ゆったりと、それでいてきちんと締めるところは締め、序破急とでもいうのか、曲の作りに無駄がなくバランスがいい。


リスト/パガニーニによる大練習曲集 S.141より 第6曲 イ短調「主題と変奏」 | 卒業演奏会2015

 

シューマンアラベスク ハ長調 Op.18」

シンプルなだけに、ごまかしがきかない。大好きな曲だけれど、いつも弾くたびに発見があるし、弾けば弾くほど難しい曲だと思う。


R.シューマン / アラベスク ハ長調 op.18

 

ストラヴィンスキー「ペトリューシュカからの第三楽章」

思い切り華やかな導入だ。ぱっきりと金の音のように、硬質な音を響かせよう。グリッサンドは、鋭くそれでいてなめらかに。色彩豊かでトリッキーに。きらびやかな音が響き渡る。トレモロを、和音を、ともに呼吸する。ラストまで一直線に天へ駆け上っていく、激しい和音が加速し、宴は怒涛のような幕切れへとなだれこむ。


ストラヴィンスキー: ペトルーシュカからの3楽章:第3楽章「謝肉祭」[ナクソス・クラシック・キュレーション #ファンタジー]

 

マサル・カルロス・レヴィ・アナトール

 

春と修羅

シンプルでナチュラル。闇がー宇宙が見える。昏い星々がー寄る辺なく、どこまでも虚空が、マサルの背後に。その映像ひとつひとつが独創的で情感に満ちていて、説得力がる。オクターヴでのパッセージと、複雑な和音を駆使した超絶技巧のカデンツァ。昏い星々の間から射してきた一筋の光。その光の中に垣間見えた無限の色彩。

 

ラフマニノフ「絵画的練習曲音の絵 Op.39-6 アレグロ

闇の底で何かがうごめくような、低く、不穏な始まり、徐々に動きが起こり、緊張感のあるトレモロが闇を穿つ。


ラフマニノフ/エチュード「音の絵」より第6番Op.39-6/演奏:鈴木 弘尚

 

ドビュッシー「十二の練習曲 第五曲 オクターヴのための」

深い闇を感じさせた一曲目から、二曲目で徐々に明るく、開けたところへでていくような雰囲気を出している。そして三曲目のドビュッシーで一気に開けたところへ∂。マサルの持つダイナミックさが、ドビュッシーの曲の独特なスケール感とあいまって、感動的なまでに表現される。


ドビュッシー 12の練習曲より第5曲:オクターブのために / Debussy Pour les octaves

 

ブラームスパガニーニの主題による変奏曲 Op.35」

さらに、ギアチェンジがなされたまま、最終局へ。「満を持して」堂々と提示され、ぐいぐいと観客を引っ張っていく。


ブラームス/パガニーニの主題による変奏曲,Op.35/演奏:太田実花

 

風間塵

ドビュッシー「十二の練習曲・第一巻第一番 五本の指のための/ツェルニー死氏に倣って」

ピアノを始めたばかりの子どもを連想させる、たどたどしい茶目っ気のあるフレーズから始まる。しかし、「ピアノのお稽古」は徐々に堂々たる「ピアノ演奏」となって締めくくられる。鮮やか。ドビュッシーの色彩が匂い立つ。


ドビュッシー 12の練習曲より第5曲:オクターブのために / Debussy Pour les octaves

 

バルトーク「ミクロコスモス第六感より 六つのブルガリア舞曲」

どことなく土俗的な雰囲気の漂う、ジャズっぽい気まぐれなメロディも彼によく似合う。野性的というか、動物的というのかー都外で子供が駆け回っているような演奏。


バルトーク/ミクロコスモス第6巻 146.オスティナート/演奏:本山麻優子

 

春と修羅

ごく静かに始まった。曲も至ってシンプルに展開される。日常生活。しかし、そのイメージはカデンツァに突入したとたん、一瞬にして打ち砕かれた。風間塵の紡ぎだしたカデンツァは、すこぶる不条理なまでに残虐で、凶暴性を帯びていたのである。「修羅」なのだ。人間には到底太刀打ちできない自然の猛威。美しい自然だけではなく「修羅」あっての「春と修羅」なのだ。

 

リスト「二つの伝説より 小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ

緊張は途切れず、流れるように次の曲へと進んでいく。風間塵の指から生み出される延々とるづくトリルとトレモロを聴いていると、ちらちらと上下しながら宙をはばたく小鳥がぼろをまとった青年と荒野で向き合っている姿が目に浮かんでくる。


リスト 「二つの伝説」 第1曲 小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ ピアノ 小松勉

 

ショパンスケルツォ第三番嬰ハ短調

これまた、煽情的なショパン。イタリア語で「冗談」とか「いたずら」の意味を持つスケルツォだが、風間塵のスケルツォは飛び切りトリッキーだった。南路楽しそうに弾くのだろう。彼の演奏を聴いていると、無性に自分もピアノが弾きたくなる。目の覚めるような幕切れ。


ショパン:スケルツォ 第3番嬰ハ短調 作品39 - 藤波結花

 

栄伝亜夜 

 

ラフマニノフ「絵画的練習曲音の絵Op.39-5 アパッショナート変ホ短調

彼女は風間塵の演奏さえも前提にしてしまい、それを「踏まえて」城を築こうとしている。一音一音にぎっしりと哲学や世界観のようなものが詰め込まれ、なおかつみずみずしい。


ラフマニノフ エチュード「音の絵」Op.39-5

 

リスト「超絶技巧練習曲 第五曲 鬼火」

一曲目が終わっても、亜夜の集中力は途切れることなく、目を閉じたまま沈黙があり、すぐに二曲目に入った。一曲目がダイナミックに展開される曲だったため、こちらは対照的に、とてつもなく繊細だ。


リスト/超絶技巧練習曲 第5番鬼火,S.139,R.2b/演奏:福間洸太朗

 

春と修羅

ふっと炎が消えた。部隊は消え、目の前に、さえざえとした闇が広がる。ちょっと物悲しく、それでいておどけたメロディ。カデンツァが近づいてくる。自由に、宇宙を感じて。骨太でゆったりとしたーおおらかな、どっしりとしたーすべてを包み込むようなまるで大地のようなカデンツァ。亜夜は、あの凄まじい「修羅」に満ちたカデンツァを聞いて、それに応えた。

 

ラヴェルソナチネ

どこか古風な響きのする三楽章からなる曲を丁寧言弾いていく。


ラヴェル:《ソナチネ》アルゲリッチ 1974

 

メンデルスゾーン「厳格なる変奏曲」

静かに始まり、さざなみが寄せては返す。やがて波は高まり、奉公する、繰り返されるテーマ。激しいパッセージはラストに向かってクライマックスを迎える。二次予選の締めくくり。なんというみごとなフィナーレだろう。


加藤大樹 Daiki Kato Mendelssohn/Variations serieuses op.54